『ブレードランナー』には公開の時期や形態によって7つの異なるバージョンが存在するらしいのですが、WikipediaやAmazonのレビューなどを見るとネタバレを食らうので、ネタバレを見たくない人用(兼自分のメモ用)に各バージョンの違いについてまとめておきます[1]。情報源がWikipediaだけに間違いが含まれているかも知れません。予めご了承ください。
1.リサーチ試写版(ワークプリント版)
1982年。113分。正式に公開される前に観客の反応を見るために作られたもの。この映画の世界観が当時まだ一般的ではなかったこともあり、観客の反応はあまり芳しくなかったらしい。
2.サンディエゴ覆面試写版
1982年。未ソフト化。基本的にリサーチ試写版と同じだが、新たに3つのシーンが追加されたとされる。
3.初期劇場公開版(オリジナル劇場公開版、US劇場公開版)
1982年。116分。北米で初めて商業上映された際のバージョン。リサーチ試写版で不評だった点を改善し、一般受けを良くしたもの。OPの変更、フォードのナレーションやED映像を追加。暴力シーンの一部がカット。
4.インターナショナル版(インターナショナル劇場公開版、完全版)
1982年。ヨーロッパや日本で劇場公開された際のバージョン。削除された暴力シーンが復活。他にもいくつか細かい変更が加えられている。
5.USテレビ放映版
1986年。114分。未ソフト化。CBSでの放映用に編集を行ったバージョン。暴力シーンが削除。オープニング・クロールにアナウンサーによるボイスオーバーを追加。
6.ディレクターズ・カット(最終版)
1992年。116分。公開10周年を記念し再編集されたバージョン。最初の劇場公開後、次第に評価が高まったこともあり、監督が本来意図した『ブレードランナー』に再編集されたもの。内容はリサーチ試写版に近い。フォードのナレーションとED映像の削除。「デッカードが見るユニコーンの夢」のシーンが追加。一部暴力シーンを再び削除。
7.ファイナル・カット
2007年。117分。公開25周年を記念して再編集されたバージョン。デジタル・リマスタリングや一部シーンの撮り直しとデジタル合成、CGによる修正、予算の問題から採用されなかった特撮シーンにおける特殊レンズ撮影による高画質フィルムの使用など、高画質化や違和感の緩和が図られている。ワークプリント版から一部のシーンが復活。削除されていた暴力シーンも復活。
私も未だに『ブレードランナー』を観たことがないのですが(有名な作品ですしもしかしたら子供のころテレビで観たことあるかも知れませんけど)、各バージョンの違いをチェックした感じ、「全部観る気力や暇はないけれど、かといって一作だけ観るとしたらどれを観ればいいのか分からない」という人はファイナル・カット版を観ればいいのかなと思いました。説明を読む限り一番高画質みたいですし、ディレクターズ・カット版で追加された重要なシーン(「デッカードが見るユニコーンの夢」)や削除されていた暴力シーンも復活しているので。それで興味を持ったら、最初のリサーチ試写版や一般受け良く編集されたという初期劇場公開版などにも手を出してみるといいのではと思いました。とはいえ、観たことない人間の想像なのでちゃんと全部視聴した人からすると全く見当違いなことを言っている可能性がありますし、また観る人の好みにもよるでしょうから、こればかりは実際本人が観てみないと(私も観なきゃ)分からないことなのだろうなと思います。
ちなみにディレクターズ・カットとファイナル・カットがAmazonビデオで有料配信されている(レンタル400円/購入999円)のですが、どちらも公開年の表記が1982年になっていて、それはどうなんだと思いました。内容も公開された年も初期劇場公開版とは違うのだから、きちんとそれぞれが発表された年にして欲しいです。また、バージョンごとに公開年を表記してもらわないと、私のようにネタバレが怖くてWikipediaよりも先にAmazonで検索した人は、タイトルが紛らわしいのもあってどちらが古くてどちらが新しいのか分かりづらいのですよね(最初見たとき「『ファイナル・カット』と『最終版』って一体どっちが最後なんだよw」と思いました)。Amazonさん宜しくお願いします。
参考文献
[1] Wikipedia, “ブレードランナー,” Wikipedia, https://ja.wikipedia.org/wiki/ブレードランナー, 2017年12月11日 (月) 15:40.