70年近く前の文章にも、学生の多くは学問をやるためではなく単に一流企業に入りたいから大学に来ているって書いてあるの面白いですね[1]。
以下、青空文庫版の末弘厳太郎『法学とは何か――特に入門者のために』より引用します[2]。
“それでも、ともかく大学を出さえすれば官吏にもなれる、一流会社にも採ってもらえることだけは確かであったから、わかろうがわかるまいが一生懸命にノートをとって受験の材料をこしらえるのである”
“しかし私の知っている限り、かなり多数の学生は、卒業するまで何のために法学を学んでいるかを呑み込むことができず、そのため平素はノートを作ることにのみ苦労し、試験期になればそれを丸暗記することに苦労したのが、その頃の実情であった”
“学生の多数は、法学に志しているのではなくして、単に法学部を卒業すること、そしてできればなるべく良い成績で卒業することを志しているにすぎないから、彼らにとっては、学問そのものはどうでもよいのである”
“卒業後司法官や弁護士のような法律関係の職業に向おうとする少数の学生以外の者にとっては、学問は要するに受験の具にすぎなかった”
“高文試験制度が変って法律関係の試験科目が減ると、それを機会に法律学科の学生が急に減って――法学科目の少ない――政治学科の学生が激増したるがごときは、まさにこの傾向を如実に反映したものと言うことができる”
参考文献
[1] 末弘厳太郎, “法学とは何か――特に入門者のために,” 法律時報, vol.23, no.4-5, 1951.
[2] 末弘厳太郎, “図書カード:法学とは何か,” 青空文庫, https://www.aozora.gr.jp/cards/000922/card47100.html, 2008年8月10日作成.
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